聞いたこともない最高のチャンピオン/ジョン・リエル・カシメロ
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フィリピンはボクシング大国ではない。国民的スポーツはバスケットボールだ。ボクシングではマニー・パッキャオだけが愛されている。カシメロはまだ認知された存在ではないのだ。

フィリピンのジョン・リエル・カシメロは、近年の軽量級で最高のファイターの一人だ。しかし2階級制覇の世界王者(当時)であるにも関わらず、彼はフィリピンでほとんど知られていない。

パッキャオのような脚光を浴びたことは一度もなく、無敗のアムナット・ルエンロンを4回TKOで下したIBFフライ級タイトルマッチでさえ、フィリピンではTV放映されなかった。

フィリピンのカローマン市のビクトリーモールの最上階のジムでパンチングバッグを叩くカシメロにとってそんなことは重要ではない。マニー・パッキャオのようなファンファーレはそこにはない。バッグに当たるパンチの音、天井からの水漏れの音、カシメロは今でなく未来を見据えている。

フィリピンはボクシング大国ではない。国民的スポーツはバスケットボールだ。ボクシングではマニー・パッキャオだけが愛されている。カシメロはまだ認知された存在ではないのだ。

サミー・ゲロアニ(プロモーター)
「将来が楽しみです。フィリピンのテレビはスーパースターだけにスポットを当てます。世界王者になってもまだ足りないのです。しかしカシメロが活躍し続ければ彼ら(TV)も黙ってはいないでしょう。」

果てしなく続く、人々の尊厳への道のカシメロの次なる歩みは、9月10日、イギリスのロンドンO2アリーナでのチャーリー・エドワーズとの戦いだ。エドワーズはプロになってまだ2年未満、8勝3KOの記録を持つ元エリートアマチュアだ。

カシメロ
「自分の力を発揮してノックアウトで勝ちます。」

他の多くのボクサーと異なり、カシメロは、家族からボクシングを反対されたり、誰かをヒーローと憧れてきたわけではない。むしろ、彼はあらゆるスポーツを試みて、ボクシングが自分に最も向いていることを発見しただけだ。

地元の桟橋で荷役労働者として働く父と専業主婦の母の間で3人兄弟の真ん中で生まれたカシメロは12歳でボクシングを始め、地元のアマチュア大会に参加した。高校を2年で中退し2007年に17歳でプロになった。

2009年までにカシメロは既に国際舞台で活躍するまでのファイターに成長し、ニカラグアで11ラウンドKOでセサール・カンチラを破りWBO暫定ライトフライ級タイトルを獲得した。

相手の地元で戦うことが彼のキャリアのトレードマークとなり、グローブをつけた旅人となった。国際的な仲介人であるサンプソン・レウコヴィッツの助けを借りて、8か国で戦った。次戦のイギリスが9か国目となる。

ラモン・ガルシア・ヒラレス(メキシコでスプリット)とIBFフライ級王者のモルティ・ムザラネ(南アフリカ)に敗北したが、実戦でキャリアを積みながら、2012年、アルゼンチンでルイス・ラサルテを10回でノックアウトし、IBF暫定ジュニアフライ級タイトルを獲得した。(その後正規王者のウリセス・ソリスが返上のため正規王者に格上げ)

アルゼンチンのラサルテファンが暴動を起こしたため、カシメロの人生最良の瞬間は台無しになった。

カシメロ
「私はラサルテを5回倒しました。アルゼンチンのファンはそれに怒って暴れました。ペットボトルがコインになり、椅子になり、リングに投げ込まれました。」

サミー・ゲロアニ(プロモーター)
「観客に蹴ったり殴られたりしましたが、やり返してはいけません。もしやったら訴えられるかもしれない。だからみんなにただ自分を守れ、殴り返さないで隠れろと指示しました。選手を守らねばなりません。観客は私たちを殴ったり蹴ったりしましたが、セキュリティは何もしてくれません。みてみぬふりをして背を向けていました。」

カシメロはこのタイトルを防衛していったが、2014年5月3日、セブ市のウォーターフロント・セブシティ・ホテル&カジノでIBF世界ライトフライ級13位のマウリシオ・フェンテスと対戦したが、前日計量で5.25ポンドのリミットオーバーとなり、体重超過で王座を剥奪された。フェンテスが勝った場合のみ王座獲得となる条件で試合が行われたが、カシメロが3度のダウンを奪う初回2分59秒KO勝ちという圧勝に終わった。

2014年12月13日、メキシコのヌエボ・レオン州ペスケリアでIBF世界フライ級4位のアルマンド・サントスとIBF世界フライ級挑戦者決定戦を行い、2回24秒TKO勝ちを収めアムナット・ルエンロンへの挑戦権を獲得。

2015年6月7日、タイのバンコクのインドア・スタジアム・フアマークでIBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロンと対戦し、12回0-3(110-116、110-115、112-113)の判定負けを喫し2階級制覇に失敗した。

カシメロ
「アムナットはとてもダーティーだった。私の足を蹴ってタックルしてきた。試合にならなかった。」

議論の残る試合は再戦の運びとなり、11か月後、4回でカシメロはアムナットを2度倒しライバルに舌を突き出した。カシメロの計画は、さらに階級を上げて、絶対王者のローマン・ゴンザレスに挑むことだ。(当時45勝38KO無敗)

カシメロ
「チョコラティートと戦いたい。彼は逃げない勇敢なファイターだからいい試合が出来る。走るファイターは嫌いだ。」

チャーリー・エドワーズとの試合は、HBOのクルーが中継し、ゲナディ・ゴロフキンVSケル・ブルックの前座で行われる。誰が観ているかに関係なく、尊厳のために戦い続けるオルモックのファイター、カシメロにとっては夢のような時間だ。

カシメロ
「もちろん、いつかマニー・パッキャオのようなパウンドフォーパウンドのファイターになりたいです。ボクサーにとってはそれが誇りです。しかし実際に何が起こるかはわかりません。神が私に与えてくれるものが何であれ、私たちの世代が次のマニー・パッキャオになれるかどうかは神次第です。」

https://www.youtube.com/watch?v=As4WHAajLQg

そして、今日・・・

フィリピンのジョン・リエル・カシメロはリングで誰も恐れていない。日本のモンスターでさえ。

カシメロ
「私は誰も恐れていません。バンタム級で一番の強打者は自分だとおもっています。」

4月25日、ラスベガスのマンダレーベイイベントセンターでバンタム級の統一をかけて、無敗の井上尚弥と戦うことが決まった。

もちろん、オッズでは井上有利、彼がバンタム級の獣とみなされていることをカシメロは知っている。同門の4階級制覇、ノニト・ドネアが負けたこともよく理解している。

カシメロ
「井上も凄いパンチを持っているので、注意する必要がありますが、私は彼よりも強く打つと信じています。」

ショーン・ギボンズ
「井上VSドネア戦のように残酷な打撃戦になるでしょう。2人のアジア人が本場アメリカで統一戦をするなんてめったにないことです。4月25日、世界はカシメロという男が誰であるか知ることになるでしょう。」

ギボンズはカシメロの他にも、世界王者、マニー・パッキャオ、ジェルウィン・アンハカス、ペドロ・タデュランを抱えている。カシメロは対戦に向けマイアミに出発し、有名なフィジカルトレーナーのメモ・エレディアに師事する。

足掛け10年、具志堅や寺地拳四朗のジュニアフライ級からはじまって4階級上のバンタム級まで、3階級制覇しているジョン・リエル・カシメロは現役にしてレジェンドであるという個人的判断から書かせていただきました。

SNSでは勝負にならない、井上の圧勝でしょうと書いてあり、返す言葉もないが、どうしてそう言い切れるのだろう。カシメロは若い時から乱暴な王者で10年のキャリアで4階級をまたぎ、3階級制覇を成し遂げた息の長い王者だ。

しかし全てがBサイド、地球の裏側、IBFやWBOで日の当たらない(日本では報道されない)世界にいたので、その足跡をよく理解している者は少ない。

有名なところだと、ペドロ・ゲバラあたりに辛勝している。

記事では省略したが、節目となる試合以外の、挑戦者決定戦やランカー対決などではあっさり圧勝、序盤KOも多い。井岡が負けた全勝のアムナットの初黒星、ボクシングをほぼ引退させたのもカシメロなのだ。

ゾラニ・テテ戦がそうだったように、ハマれば強烈に強いが空回りすることもある。未だ完敗、倒されたり、ひどく効いた姿はみたことがないどこか規格外で不思議な王者といえる。

風貌や名前、ファイトスタイルで、私は昔から彼を怪物君と崇め、お気に入りの選手だったが、貧困からのサクセスストーリーといったものはまだみかけない。井上に勝ってスーパースターになれば様々なストーリーが書かれるのだろう。

そんな私でさえ、不測の事態が起きなければエレガントで破壊的な井上尚弥が勝つとおもっている。

しかしカシメロには、分析、予測できない何かがある。

ジュニアフライの小柄な少年だったのに、未だに強烈なパンチャーだし
ドネアよりも自分が強いと自信があるようだし
いつもアウェーばかりのジャーニーマンでたくましいし
得体の知れないメモ・ヘレディアがついているし
完敗するのをみたこともない。

井上のスパーリングパートナー、2018年にカシメロとスパーリングをした経験を持つというパガラは、井上VSカシメロ戦について

「どちらも非常に強力であり、この戦いについて確かなことがあるとすれば、それは激しい打ち合いになるでしょう」

と言った。

これは社交辞令でなく本音なのかもしれない。

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