ライオンキング/(ライオン)レノックス・ルイス

一番熱い、人気のヘビー級王者ではなかったかもしれないが、一番強かったのは認めなければならない。ライバルの中で圧倒的に一番の結果を残した難攻不落の偉大なヘビー級統一王者だった。

レノックス・ルイスは対戦相手すべてを破った(再戦含む)3人目のヘビー級王者で、人気階級の議論の余地なき最後のキングだ。身長196センチの体格のチェスの魔術師(チェスが得意)は、ヘビー級を戦略的に攻略し、血と勇気の世界で、彼が常に運命であると宣言した王座にほとんど無敵で君臨した。

1988年ソウルオリンピック金メダルを養子として育ったカナダ代表として獲得したルイスは1989年にイギリスでプロに転向した。

ルイスの最初のブレイクアウトは1992年、ドノバン(レーザー)ラドックに対する2回KOでWBC王座の指名挑戦者になった。

オリンピックの決勝でルイスに敗れた当時の王者、リディック・ボウは指名試合を放棄し、メディアの前でベルトをゴミ箱に捨てた。

ルイスはそのままWBC王者に認定され、3度の防衛に成功したが、最初の彼の運は尽きかけていた。

1994年9月、オリバー・マッコールに番狂わせの2回KO負け。

https://www.youtube.com/watch?v=9DPETfi0Zx8

それ以来伝説のトレーナー、エマニュエル・スチュワードの師事を仰ぐことになった。スチュワードはマッコールのコーナーでルイスの没落をコントロールしたデトロイトの伝説的なコーチだ。スチュワードは敵であったルイスと組み、彼の欠点を解決することに情熱を注ぎ、以来ルイスはほぼ無敵になった。バランスの改善、コンビネーションの精度、多彩な左ジャブ、ルイスはグレードアップした。

1997年マッコールに雪辱しタイトルを取り戻すと、長きにわたりこの王座を守り、3年後イベンダー・ホリフィールドに勝ってヘビー級を統一。初戦は引き分けだったがルイスの勝利に相応しいものだった。

2001年4月にハシム・ラクマンにまさかのTKO負けを喫するも11月の再戦で直ちに雪辱、3度目の王座の統治が始まった。ルイスは全盛期を迎え、マイク・タイソンやビタリ・クリチコに対する勝利で王者のままその輝かしいキャリアを終えた。

https://www.youtube.com/watch?v=FCaohPudiu4

2004年の引退以来、ルイスは家族との時間を大切にしてきた。妻のヴァイオレットと4人の子供に囲まれたルイスに、ボクシング界は何度も復帰を迫ったが、彼の意志は固いままだった。

ルイス
「私は若いボクサーを支援するが、プロボクシングに存在する陰謀から彼らを守ります。」

ルイスはドン・キングとパノス・エリアデスとの長い法廷闘争をしていた。

ルイス
「ジャマイカで多くの時間をチャリティー活動に費やしています。ボクシングに関しては子供達に教えることも好きです。」

通算戦績:41勝32KO2敗1分

ライバルについて

ベストスキル イベンダー・ホリフィールド

とても才能のある男だったが、わざと頭を使う(バッティング)のに失望した。彼が偉大なヘビー級と言われるのは私と戦ったからだ。初戦では彼は自信過剰でゴスペルを歌いながら入場してきた。勝ちに等しい試合をしたが引き分けでショックだった。再戦ではもう彼に何ができるかわかっていたので、楽に勝てた。

ベストジャブ レーザー・ラドック

ノックアウトされる前まで、彼はとてもいいジャブを打ってきた。

ベストディフェンス ホリフィールド

フォアマンのようにアームブロックでディフェンスするスキルを持っていた。アマチュアで仕込まれたクラシカルなディフェンススキルもよかった。イベンダーを突破するのは大変だった。ワンツーだけではダメでスリー、フォー、ファイブまで打ち込まないとダメだった。

ベストチン オリバー・マッコール

間違いなくマッコールだ。彼は長年マイク・タイソンのスパーリングパートナーで素晴らしいアゴと反射神経を持っていた。

ベストパンチャー シャノン・ブリッグス

シャノンはスタミナに欠けるがパンチに体重を乗せることができる男だった。しかし私に勝つにはパワーだけでは不十分で、フルパッケージが必要なんだ。人々は私が負けたマッコールやラクマンと言って欲しいのだろうが、私は再戦でしっかりリベンジしたからね。

ハンドスピード ブリッグス

ブリッグスのハンドスピードには驚いたよ。見た目と実際にギャップがあり、それが彼の強みだ。リングに上がってみないとこんなに速かったのかとわからない時がある。

フットワーク ジェリコ・マブロピッグ

彼を倒すために追い詰めるのは大変だった。とてもよく動いたけど最初から彼はサバイバルモードだった。

スマート ビタリ・クリチコ

ビタリはぎこちなさを効果的に取り入れて戦うファイターだ。みんな再戦すべきだと言うがもう引退を決めていたんだ。心身共にベストコンディションじゃない状態で彼にあれだけのファイトをしたからもう十分さ、リマッチは必要ない。ビタリに強いアッパーを打ち込んだよ。

屈強 ハシム・ラクマン

初戦のラクマンのラッキーパンチは強烈だった。ラッキーパンチなんてないと言うかもしれないけど、あれは生涯一度のラッキーパンチだ。リマッチではラクマンは俺に近づくことさえできなかったから彼がどのくらい強いのか忘れていたよ。

総合 ホリフィールド

私のキャリアで総合的にベストな相手はイベンダーだった。

十分評価されている、いやもっと評価されていいヘビー級絶対王者がレノックス・ルイスだろう。結局、ライバルと言われたマイク・タイソンやリディック・ボウよりも成功を収めてキャリアを終えた。しかし人気面では彼らに及ばなかったかもしれない。

オリンピック金メダル、ジムではめちゃくちゃ強かったのだろう、多くの相手がルイスを避けていた。誰もが恐れていたレーザー・ラドックを倒し、益々怖がられることになった。全盛期のマイク・タイソンの唯一のライバルだったが避けていた。試合となるとムラがあり、不安定なところが目立ったが、終わってみればポカさえなければ無敵の絶対王者だった。

タイソンの全盛期に対戦がなかったのが悔やまれる。

レノックス・ルイスを境に、ヘビー級は超人化し2メートル超えの世界になっていった。
ビタリ・クリチコとの最後の試合は続き、もしくは再戦が観たかった。

見た目と違って頭脳的な紳士であり、金銭、ビジネスに踊らされることなく堅実な選択をしていったのが身の破滅が多いボクシング界、特にヘビー級において今でも健全、健康な理由だろう。今の方が知的な紳士にみえるほどだ。

やっぱりアンソニー・ジョシュアとは役者が違ったのだろうか。
趣味はチェスで、雪辱を熱望するビタリ・クリチコはルイスと「チェスでもいいから戦いたい」と語っているという。

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