血の味/(韓国史上最強王者)崔龍洙(チェ・ヨンス)

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すごい選手になるんだという目標もなく誰かに勧誘されたわけでもありませんでした。ボクシングを始める前は遊ぶことしかしらない軽い学生でした。

しかしボクシングは彼の全てになった。

https://www.youtube.com/watch?v=ryV-oFTTCjM

「まだ燃え尽きていない。過去に手を抜き一生懸命やってこなかった後悔があったから再起した。」

44歳(3年前の記事です)、再びリングに上がった韓国プロボクシングのアイコン、崔龍洙(チェ・ヨンス)は13年ぶりに劇的なTKO勝利を収めた。試合後、崔は堪えていた涙をこぼした。

崔龍洙
「デビュー前、世界王者となってからの防衛戦など、記憶に残る試合で全てにおいて自分をハードに追い込んでいなかった事が後悔だった。ボクシング人気が復活することを願い、初心を忘れずに挑戦者の立場で最善を尽くしていきたいです。」

崔龍洙(チェ・ヨンス)は16日、唐津ホソゴ体育館の特設リングで韓国ボクシング連盟(KBF)のメインイベントのワンマッチで14歳年下の日本人、中野和也相手に2度のダウンを奪い8回TKO勝利を収めた。2003年にWBC世界タイトルマッチでシリモンコン・シンワンチャーに判定負けして以来13年3か月ぶりの復帰戦だった。

試合前から崔龍洙(チェ・ヨンス)の復帰戦は色物的なショーではないかという批判があったが、これを払しょくさせるため、確かな実績と実力を持つ日本の中野を復帰戦の相手に選んだ。序盤はコーナーに追い込まれたりしたが、中盤以降安定感のあるパンチでペースを掴み、5回と7回にはダウンを奪った。8回、中野が抵抗できなくなったところでレフリーは試合を止めた。

会場は崔の名前を叫ぶ声援で満たされた。

崔龍洙
「おもったより身体が動かなかった。ビッグパンチで形成を逆転した。でも体力的にキツイとは感じなかった。全ての人は、過去にもっと一生懸命にしていればという後悔の念、自責の念を持っているのではないでしょうか。私ももっと熱心にボクシングに取り組んでいれば常にトップの地位で今でも王者だったかもしれません。」

復帰戦では右の肋骨が折れた。名誉の傷だ。しかし崔は試合が終わってからも肋骨が折れているとは気づかなかったという。過去にも肋骨にひびが入った状態で試合したことがある。崔龍洙の「闘魂」は昔も今も彼の最大の強みだ。

崔の復帰は今回が2度目になる。1995年10月、アルゼンチンのビクトル・ウーゴ・パスにTKO勝ちしてWBAスーパーフェザー級王者になり、20戦目にして世界王者に輝く。その後、三谷大和、松本好二、畑山隆則等の挑戦を退け、通算7度(引き分け1つを含む)の防衛に成功。

https://www.youtube.com/watch?v=sVZm7cNSW2s

1998年9月5日、8度目の防衛戦。前年10月5日の6度目の防衛戦で引き分けた畑山と再戦。前回同様、フルラウンドの激闘を展開したが、0-2の判定負け。3年近く保持し続けた世界王座を手放した。この時最初の引退宣言をした。

2年後に王座を取り戻すべくカムバック、2003年1月にWBC世界タイトルマッチでシリモンコン・シンワンチャーに挑むも判定負けで再びリングを去った。

https://www.youtube.com/watch?v=wgMLUquVgQs

崔龍洙
「とても残念なキャリアでした。畑山との再戦で、私が負けたら再戦する条件がついていましたが、彼が他の選手に負けてしまい機会を失ってしまいました。世界戦ができないとボクサーとしての生活が維持できないのでグローブを脱ぎました。」

2001年に復帰したが厳しい状況が続いた。日本にスカウトされ、韓国を離れて活動したこともある。

崔龍洙
「外国で生活しながら戦うことはストレスが多く難しかったです。契約義務に基づいたゲームをしているような感覚でした。でも今回は事情が違います。復帰は自分へのギフトのようなものだから楽しんでいます。以前はコーチの言うなりでウンザリでしたが、今は自分本位でやっているので、トレーニングが苦痛とはおもいません。」

今回の復帰戦を通じ「初心」に戻ることをテーマにした崔龍洙は気まぐれにボクシングをはじめた10代の頃を振り返った。17歳で初めてグローブをはめた崔は、1989年、故郷の唐津を離れソウルに上京、1年後夢に描いたプロの舞台にデビューした。

崔龍洙
「すごい選手になるんだという目標もなく誰かに勧誘されたわけでもありませんでした。ボクシングを始める前は遊ぶことしかしらない軽い学生でした。」

しかしボクシングは彼の全てになった。

崔龍洙
「たまたま入ったボクシングの道で自分に少し才能があることがわかり、今ではボクシングなしでは生きられなくなってしまいました。今でもデビュー戦を鮮明に覚えています。1990年11月4日、ジムの先輩の試合の前座で判定勝ちし勝利の味が忘れられなくなってしまいました。」

1972年生まれ、ボクサーにとっては還暦ではなく古希を過ぎたくらいの年齢といえる。激しい殴り合い、パンチを打つ時も避ける時も瞬発力が必要で、休むことなく身体を動かさなければならない。他のスポーツや団体競技とは違い、ボクシングは孤独なスポーツだ。選手寿命が伸びたといわれるが、現役の40代は球技など他のスポーツでは可能でも格闘技では難しい。だから、彼の復帰は「無謀な挑戦」と言われている。

崔龍洙
「もちろん、年齢は気になりましたし何より13年という大きな空白が問題でした。だから条件付きでトレーニングを再開しました。トレーニングしながら試合ができるのか判断しています。ブランク明けでリングに上がった時、動きもパンチ力も以前と同じではありませんでした。相手が決まり、試合まで2か月、自分との戦いを続けました。腰と肩が痛くなりました。スパーリングでは拳を痛めました。でも、何より楽しかった。好きだったお酒をやめて、食事も制限して着実に準備しました。」

柳明佑
「崔龍洙の復帰戦はドラマチックでした。感動しました。」

29勝だった崔龍洙のキャリアは30勝の大台に達した。

崔龍洙
「勝負の世界は冷酷です。結局は勝たなければ意味がありません。それがプロの倫理です。相手の中野のことはよく知りませんでした、知りたくなかったんです。彼がサウスポーということ以外、動画すらみつけられませんでした。動画がないというのはそんなに強い選手ではないことを意味します。謙遜ではなくうぬぼれです。13年のブランクがあったので、正直コンディションは30%でしたが、相手がサウスポーだということを念頭に準備しました。」

崔龍洙は「浮気」したことがある。
2006年、異種格闘技K1にデビューし2連勝するも日本のアイドル魔裟斗に負けた。

崔龍洙
「当時(衰退していた韓国の)ボクシングに復帰する気持ちはなかった。だからK1の提案を受け入れたんだけどK1に関してはこれ以上話たくないです。」

あれから韓国のボクシング人気は消えた。明確なスターもなく、競争力も低下した。韓国ではボクシングはスポーツではなくダイエットの手段だ。

崔龍洙
「私に人気が低迷した韓国ボクシングを復興させることができるとは思いません。そう思うならただの勘違い野郎です。しかしボクシングは人間の心を一つに団結させます。私の戦う姿をみて何かを感じてくれればそれで満足です。」

44歳で復帰した。悔いが残らないように、激しくも楽しく。
しかしもちろん、具体的な目標は設定している。

崔龍洙
「世界チャンピオンになりたい。年齢は重要ではありません。あと2、3試合したら世界王者に挑戦する計画です。もしチャンスがなければ本当に引退します。

引退するなら、きちんとした引退式がしたいです。他のスポーツをみていると選手とファンが一体となって記憶に残る引退セレモニーがあるのにボクシングではそのようなものはありません。ファンに最後を見届けてもらい、それをメディアが報道する、そうすることでボクシングへの関心を呼び起こす事にもなるのではないでしょうか。

でも、本当の引退なんてする前に、世界に挑戦できるよう、全力を尽くします。40代、50代の人に希望をもたらし勇気と力を与えることができるなら満足ですし感謝します。もっと一生懸命トレーニングして、より良い姿をお見せすることが私の役目です。」

補足

2017年2月5日にネルソン・ティナンペイという中堅フィリピン人に勝って31勝21KOとしている崔龍洙だが、その後試合はなく、やはり様々な問題で活動停止を余儀なくされているのだろう。もう世界への挑戦はないだろう。

文成吉の記事で最後の激闘王と書いたらコメントで崔龍洙も忘れないでくれと指摘されました。崔龍洙は7度も防衛をしていたんだな。

崔龍洙(チェ・ヨンス、朝鮮語: 최용수、英語: Choi Yong-Soo)で検索してもサッカー選手しか出てこないのが、ボクシング界の現実だ。

畑山のライバル、日本人専門の世界王者に近い存在だったが、実質、崔龍洙の方がほんの少し上、粘り強かった気がする。ラクバ・シンにも競り勝っている。畑山も野球児で、アマチュア出身が席巻する今のボクシング界では考えられないノンアマにして異能のセンスがあったが、韓国の崔龍洙にもそれを凌ぐほどのハングリーさ、忍耐力があった。才能は畑山の方が上だったとおもうがそれ以上といえる結果を残した。

アマチュアエリートでもなく、遊ぶことしか知らない学生が始めたボクシング、崔龍洙がたった一人、どん底の韓国ボクシングを支えている。

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プクー

プクー

「ボクシング動画配信局」https://box-p4p.comの管理人です。 ボクシングで人生を学びました。

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