「黄金のミドル(中量級)」時代の主役、ボクシングがビジネスである限り、アリ、レナード、デラホーヤの系譜に連なるスターが必要なのだ。今はカネロか違うのか・・・
表紙で本の中身を判断する事はできない。
その本はキュートな笑顔で「シュガーコート」されているかもしれないが物語は全く別物だ。シュガー・レイ・レナードは1976年にオリンピックの金メダルを獲得した。キャリアを通じ、血と汗と涙を流し、冷酷な殺人者の本能を示し、5階級に渡り11の世界王座を獲得した。
ロベルト・デュランのように狂暴には見えなかった。
マービン・ハグラーのような屈強で不滅の男にも見えなかった。
トーマス・ハーンズのような恐ろしいパンチャーでもなかった。しかし彼はその全員に勝った。
時に巧妙な技巧でそれを成し遂げたが、大部分においてレナードは戦場の兵士が描く映画スターのような勇気をもたらすことを期待された。
レナード
「彼らのようなライバルがいなければシュガー・レイ・レナードは存在していません。持てる力以上の内なる力を引き出すには、そのような戦士、王者やライバルが必要なんです。殴られて目がふさがり、深く傷つき、フラフラで倒れそう、でもまだ争うべきラウンドがある。そんな時内なる声は「よしやってやる」と囁きます。「もうだめだ」なんて決して言いません。」モハメド・アリの死後、未だ存命しているファイターのトップ10を決めた時、レナードはロベルト・デュランを抜いて1位に輝いた。その結果は彼らが活躍した時代についてのボリュームを示している。レナード、ハーンズ、ハグラー、デュラン、中量級の黄金時代から40年の時を経ても彼らは現代ボクシング史の最高峰にとどまっている。
レナード
「とても主観的な事だから、求める人によってヒーローは違います。私はcrème de la crème(一流の相手)に勝ったことを誇りに思います。今私はジムの椅子に座り、壁には時系列で当時の試合の写真が掛けられています。オリンピックからハグラーとの戦いまで・・・実に男らしい、クールな気持ちです。」レナードはリングの中、外でそれぞれ自分自身を再定義してきた一個人だ。レナードは心に悪魔を飼っている。けれど「シュガー・レイ・レナードの旅」というその本の結末は決まってハッピーエンディングなのだ。レナードだけはその価値に値する男だから。
ライバルたちについて
ベストスキル トーマス・ハーンズ
ウェルター級のハーンズは速くてパワフルだった。皆が言うよりも優れたボクサーでもあった。でも彼は自分の最大の武器をいつも正しく使えた訳ではなかった。トミーのパンチは長くて危険だったのでインサイドに入る必要があります。十分警戒し耐え、慣れる必要があります。それができなければ彼に勝つことはできなかった。
ベストジャブ トーマス・ハーンズ
どうやってハーンズを攻略するんだ、どうやってあの長くキレるパンチに対抗するのか、私は彼を傷つけるため追いかけて追いかけまくった。試合中に私は若返り、やっと彼を傷つけ倒すことができた。
https://www.youtube.com/watch?v=ITndgquvyHk
ベストディフェンス フロイド・メイウェザーSr
そのディフェンシブなスタイルが今の息子を作り上げたんだ。しかし親父と息子の違いは息子は階級のおかげでパンチャーの側面もあったことだ。シニアはいつも手を怪我していた。拳が脆かった。だからハードパンチを打てなかったんだ。
ウィルフレド・ベニテスについても言わねばならない。彼も素晴らしいディフェンス技術を持っていたけど、私はスピードでそれを克服した。たくさん空振りもしたけどなんとか彼を捉えることができた。
https://www.youtube.com/watch?v=oBof6FLYARI
ベストチン マルコス・ジェラルド
彼は160ポンドまで増量してきた。(レナードは153だった)彼を倒すに十分な20連打を見舞ったけど彼がやったのはアゴを振ってパンチの威力を抑えることだけだった。そして彼がパンチを打つ度に私は傷つきました。医学的根拠はないけど彼のパンチで私は網膜剥離になったんだとおもう。私は彼が3人にみえたよ。トレーナーのアンジェロ・ダンディーは私に様々な大変な相手を用意した。ボクサー、パンチャー、スローな奴、速い奴、デカい奴、その中でもジェラルドは特別だった。
https://www.youtube.com/watch?v=CVHYHvTPA3A
ベストパンチャー ロベルト・デュラン
初戦ではかなり殴られた。彼は気づいてなかったかもしれないけどボディが効いた。デュランは私たちチームの全員を殴っているかのように狂暴だった。私たちとレフリー以外に誰がいるっていうんだ?デュランはとても戦略的で常に精力的だった。
ハンドスピード トーマス・ハーンズ
トミーはコーナーの隅から隅に吹っ飛ばすようなパンチを持っていた。彼のパンチはとても長くて速かった。あのジャブがとても困難だったけど、途中から自分のジャブを出すことができるようになった。
フットワーク トーマス・ハーンズ
フットワークに関しては自分が一番だとおもっているが、トミーとの初戦は彼のフットワークに苦労した。身長とリーチとフットワーク、大変だった。こいつもボックスが上手いじゃないかと驚いたよ。
スマート ロベルト・デュラン
とても賢いファイターでとらえどころがない速さを持っていた。エステバン・デヘススとの試合がいい例だ。私はデュランと戦うまで一度もまともにパンチを食ったことなどなかった。デュランの連打はすごくテクニカルだった。ライト級からミドル級まで制した本物のテクニシャンだった。
屈強 マービン・ハグラー
彼は両利きで左右どちらのパンチでもノックアウトする力があった。でも試合では私を捉えることができなかっただけだ。数発いいのを食ったが、それは戦争だったハーンズやデュランの戦いほどではなかった。ビト・アンツォフェルモやハグラーみたいなファイターを好きではなかった。私はただ戦略的に戦っただけだ。
https://www.youtube.com/watch?v=vOHpqGaU_uI
総合 トーマス・ハーンズ
トミーとの最初の試合、あれに勝るものはない。神よ、今でもその試合がよぎり悪夢をみる。潮の満ち引き、アップダウン、トミーが勝ち私が勝った、最後のパンチまでそれが続きました。
彼ら黄金のミドル(中量級)も私にはリアルタイムではないのだが、当時はテレビ東京かなにかで彼らの試合が流れていた。そしてやはりこんなに美しく、狂暴なパンチをかわし、流れるような動作でファイトするレナードに魅了された。今観てもその想いは変わらない。
時代を作る、伝説になるには単に強いだけでは足りない。自分の価値を高める、よきライバルがいないと成り立たない。それは時の運かもしれないが、いつの時代もライバルがいないわけじゃない、避ける、先伸ばしする、見送ったりしているだけなのかもしれない。
どんな記録を残したかではなく誰と戦ったのかが重要だ。
後になって、黄金の4人の中では一番魅力を感じなくなったが、一番の結果を残し広く大衆に祝福された。
彼がヒーローじゃなければならない理由、それだけの才能と魅力を湛えた男であったことは十分にわかるし、それだけのドラマを演じきった。
饒舌で愉快なインタビューだが、ハグラーに対する評価が悲しい。
仲が悪いんだな。