21st century schizoid man/エドウィン・バレロVSワシル・ロマチェンコ

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昨日、Youtubeでこの動画をみつけ、見入ってしまいました。バレロとパッキャオの仮想対決遊びかとおもいましたが、貴重な映像を含む、エドウィン・バレロの重厚なドキュメンタリーでした。

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受け入れ難きもの

「What-if」・・・妄想は自由だ。ジャック・デンプシーが全盛期のロッキー・マルシアノと戦ったらどうなっただろうか。ジョー・フレイジャーVSマイク・タイソンのスモーキーVSアイアンの戦いはどうだろう。または五輪3度の金メダリスト、ステフィーロ・ステベンソンVSモハメド・アリ。シュガー・レイ・ロビンソンVSシュガー・レイ・レナード・・・

可能性は無限大だ。想像は憶測の域を出ず、仲間とは意見が180度異なることになるかもしれない。

彼らは生きた時代が異なった、あるいはピークの時が交差しなかった。同じ時間を生きたとしても様々な理由で実現には至らなかった。リディック・ボウがマイク・タイソンやレノックス・ルイスと戦うことはなかった。ラリー・ホームズは今でも心の中でジョージ・フォアマンと戦っている。

現在、P4Pのワシル・ロマチェンコに関しては様々な可能性が不可能ではなくあらゆる対戦が理論化できる。「ハイテク」がこれからも活躍し続ける限りその議論は益々活発になっていくだろう。テレンス・クロフォードとの対戦は実現するだろうか、パッキャオ、マイキー、ガーボンタ・デービスあたりがファンの期待だろうか。

しかし今は別の「What-if」を想像してみよう。今ここでロマチェンコの対戦相手として議論するのは、スーパースターへの流星のごとき急上昇が悲劇的な事件により永遠に閉ざされた男だ。

彼は誰も制御不可能だった。

ゴールデンボーイプロモーションのCEOエリック・ゴメスは、ベネズエラのノックアウトアーティスト、エドウィン・バレロが27勝27KO無敗、デビューから18連続初回KOを記録したという事実に頼るだけでなく、彼こそロマチェンコを倒していただろうと信じている。

ゴメス
「それほど激しい試合にはならないでしょう。バレロはロマチェンコをノックアウトしたでしょう。バレロは本当に特別なファイター、特別な才能でした。信じられないほど強かった。生まれ持ったものが段違いだ。彼は相手を皆襲い勝利します。全てをノックアウトします。」

1980年代のシュガー・レイ・レナード、ロベルト・デュラン、マービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ、彼らビッグ4と同じかそれ以上の才能とかつてルー・デュバが惚れ込んだトニー・アヤラ・ジュニアと同様の事がバレロにも当てはまる。薬物、破壊的衝動、犯罪気質・・・しかしバレロはアヤラと違い称賛すべきキャリアの途中にいた。彼は既にスーパーフェザー級とライト級の2階級を全てノックアウトでクリアしていた。プライベートの過ちをリングに持ち込むことはなかった。

彼の犯した大罪そして自死は、多くのファンにとって受け入れ難きもの、祝福されるより忘れたい想い出だ。

国際的な殿堂は必ずしも神聖なる人格者にのみ与えられるものではないが、バレロもアヤラも国際ボクシング殿堂入りを議論されることはない。謎の死を遂げたソニー・リストンは19度の逮捕歴があったが、ニューヨークのカナストータの殿堂入りを果たした。

妻を殺害したという点で共通するアルゼンチンのミドル級王者、カルロス・モンソンは有罪判決を受けて刑務所に服役したが世界殿堂入りを果たしている。バレロは妻を殺害後、刑務所の独房で首を吊って自殺、28歳だった。モンソンは仮出所中に自らが運転する車で事故を起こして死亡、52歳だった。

それら、スポーツ選手への評価、選定基準はダブルスタンダードであり、野球界においても八百長事件のジョー・ジャクソン、野球賭博のピート・ローズ、バリー・ボンズやマーク・マグワイア、ロジャー・クレメンスらをどう評価すべきかなど枚挙にいとまがない。

それらの問題はスポーツ関係者を悩ませるが、エドウィン・バレロに対する好意的な印象は、ヤフースポーツの編集長、ケビン・ロールにとってもエリック・ゴメスと同様だ。

ロール
「バレロをよく知らないならば、若い頃のマイク・タイソンを想像してください。バレロのファイトは激怒そのものです。「相手の鼻を脳みその中にぶち込んでやりたい」というタイソンのセリフを覚えていますか?それはバレロの事です。」

ゴメス
「バレロの殿堂入りを議論するつもりはありません。私が言えるのは、彼はとてつもない才能の持ち主で、あの事件さえ起きなければ、どこまで活躍したか計り知れないという事だけです。しかし彼が犯した罪はリングでの功績を上回っています。称賛すべきかどうかは別の話です。

私たちゴールデン・ボーイ・プロモーションズが彼と最初に仕事をしました。彼がベネズエラで脳外科手術を受けた事が判明するまで5試合組みました。」

El Terminator(ターミネーター)

アマチュアで3度のベネズエラの全国王者だったバレロは、故郷メリダでギャングが牛耳る街で貧困の中育った。盗んだバイクで走行中警察に追われ、逃走を図るも転倒、ヘルメットを被っておらず頭蓋骨を骨折し血栓を取り除く緊急手術を受けた。19カ月後、母国で再び試合の許可を受け、エドゥアルド・エルナンデス相手に初回KOでプロデビューした。

バレロの恐怖の統治が始まった。

対戦相手は皆初回を凌ぐことさえできなかった。強すぎるバレロは評判となり、オスカー・デラ・ホーヤの父、ホエルシニアのマネージメントでGBPと契約、アメリカに活躍の場を求めた。彼の初回ノックアウトの快進撃は対戦相手の質が上がっても続くのだろうか、ゴメスでさえ暗中模索だった。

ゴメス
「私は骨のある対戦相手をあてがったが、彼はあっさり初回ノックアウトを続けていきました。コロンビアのベテラン、ロケ・カッシアーニ、彼はタフでアゴが強いことで有名でした。さすがに初回KOは無理だとおもっていたのです。しかしバレロはあっさり初回でカッシアーニを破壊した。つまり規格外なのです。あの時、私は特別な才能を手に入れたと確信しました。」

GBPはニューヨークでラティーノシリーズというボクシングイベントを計画しており、バレロが断トツの主役候補だった。カリフォルニアで3試合するため、より厳密な健康診断を受けさせた時にノックアウトされたのはバレロだった。

ゴメス
「ケリー・デービス(当時のHBO副社長)に言った言葉を覚えています。「すごい選手を手に入れました。とてつもない世界王者になります。」エドウィンはカリフォルニアで受けた全ての検査に合格しましたが、ニューヨークでは、視力、MRI(磁気共鳴画像法=脳検査)、EKG(心電図)を受ける必要がありました。私たちは何も心配していませんでした。

その後、コミッションドクターのバリー・ジョーダンから電話を受けました。彼はビーザエブン・スコットランドの悲劇(リング渦)を経験している医師でした。」

診断の結果、バレロはMRIで不適格となった。

バリー・ジョーダン
「彼の脳は穴が開いています。頭蓋骨に欠けている部分があります。私の見解ではこの子は二度とリングに上げてはいけません。」

ゴメスは別の施設でもバレロにMRI検査を受けさせたが結果はどこも同じだった。

ゴメス
「エドウィンのベネズエラ時代のトレーナーに聞きました。エドウィンは言いたがらないだろうが、数年前ベネズエラで脳手術を受けたことを。結局、彼との契約は解除しました。それ以外に選択肢はありませんでした。ニューヨークで禁止されるとカリフォルニアを含むアメリカのどこでもライセンスを取得できないのです。

エドウィンは2年間かけて、ライセンス取得に努めたが駄目でした。恐らく永遠に無理だったでしょう。彼は失意でベネズエラに帰国し、テイケンの本田明彦と契約し日本に活動拠点を移したそうです。なんで日本で許可されたのか分かりませんが、彼はそこに行き、やがて世界王者になりました。(パナマで戴冠)そして3度防衛もしました。」

ライト級に階級を上げたバレロはテキサス州でライセンスを取得し、テキサス州オースティンでアントニオ・ピタルアを2回KOし空位のWBCライト級王者に輝いた。王座を2度防衛後、悲劇は起きた。妻ジェニファー・カロライナ・ビエラ・デ・バレロの殺害、彼女は3か所刺されていた。

バレロの衝動制御の欠如は皮肉にもファイターとしては効果的だった。それが2001年のバイク事故による頭部外傷が原因だったのかどうかはわからない。事故以前、アマチュア時代から彼は情け容赦ない破壊者だった。

ゴメス
「頭蓋骨の一部が欠けている、試合だけでなくスパーリングでも影響がありそうだ。エドウィンの周囲にいた関係者から聞いた話によると、彼は誇大妄想にかられ、統合失調症のようだった。誰かに追われていると言っていた。普通じゃなかったと。」

バレロVSロマチェンコ

ところで、バレロのファイトはロマチェンコの「ハイテク」とマッチしただろうか。現在では多くのファンが、スーパーテクニシャンとしての名声を確立し今後の活躍も期待されるロマチェンコが、獰猛なバレロをコントロールするだろうと考えている。

ゴメス
「エドウィン・バレロの方が偉大だったかもしれません。限界なしでした。トニー・アヤラJrと同じです。彼がいかに凄かったか誰にもわかりません。

パンチャーは生まれ持った才であり、決して作られるものではないと信じています。生き物としての速筋線維にヒントがあるのかもしれません。何らかの理由で、エドウィンは生まれつきのパンチャーでした。それは神様からの贈り物であり、筋肉がすごいといった話ではありません。やせこけた素晴らしいノックアウトアーティストは大勢います。トミー・ハーンズ、アレクシス・アルゲリョ・・・」

ボクシングアナリストのフランク・ロティエゾはバレロVSロマチェンコの仮説を検討し、ロマチェンコ有利の見解を示しつつもバレロ勝利の可能性も否定しない。

ロティエゾ
「バレロがロマチェンコを破壊する可能性はあるとおもいます。ロマチェンコは素晴らしい、間違いなく特別なファイターです。しかし今彼に与えられている称賛は少し時期尚早な気もします。私たちはまだロマチェンコについて知らない事があります。彼はまだビッグパンチをもらったことがありません。彼の耐久力を知りません。ダウンしたりカットした時にどう回復するかわかりません。そして、それが決して起こらないとは言えません。

タイソンを、ロイ・ジョーンズjrを想い出してください。
彼らは全盛期、決して負けないように見えました。ところがどうでしょう?タイソンは逆境を上手く処理できず、ジョーンズには頑丈なアゴがないことが明らかになりました。

ロマチェンコについてはまだわからない事が多いのです。彼ははるかに優れたスーパーテクニシャンですから、バレロの見た目を悪くするでしょう。しかしバレロには絶大なパワーとナチュラルな当て勘、破壊者の本能があります。ロマチェンコがプロとして本当にピンチに立たされたのを観たことがありません。」

フランク・ロティエゾはこのように言っている。
想像力を駆使して、自分の見解を確立して欲しい。

エドウィン・バレロを語る時、技術論が何もなくなってしまうが、かつてコメントに書いたように

ひっぱたくような回転の速い連打、ブレない体幹、強打を初回からガンガン打ち込んでいけるのは孤高の才能です。その他の技術も高いです。

私がボクシングに一番求めるものが、「恐怖」や「憤怒」であるから、ここはひとつエドウィン・バレロに一票入れさせていただく。同じベネズエラのホルヘ・リナレスとは強度、硬度が桁違いだとおもう。

なぜ日本にやって来たのか、色々と曖昧だから彼の事に余計に触れないのだろう。

paranoid or schizophrenic

統合失調症のようだった。という言葉でやっと少しピンときた想いがした。

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9 COMMENTS

アバター匿名

凄まじい才能だけど、そこまでかなあ
本望や嶋田相手に8、7Rかかったバレロがロマチェンコを仕留められるとは思えない

リナレスはダウン奪ったけど、あれは計量後10キロ以上戻すっていうサイズの差の影響もあるだろうし、ナチュラルがライト級のバレロだと如何ともしがたい気がする

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アバターkk

あれは本望や嶋田をほめるべきでしょ。

考えても答えはでないんですが、理詰めの固まりロマチェンコが、ぶっこわれた戦闘機械であるバレロにどう対処するか、できるのか、そのへんは興味があります。

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アバター匿名

これ最終的にバレロが脳出血だとかが原因で亡くなってたら本田会長は凄まじく批判されてたんだろうな

返信する
アバター富士山

バレロのパワーと闘争本能(天然ドーピング?笑)は最高レベルだと思います。
ハメドとかネリとかに近い選手かな。
ハメドが、アントニオバレラ戦の直前に引退してたら、今のバレロくらいの幻想を抱かせたかと思います。
エドウィンバレロの世界戦レベルでの決定力は、ジェラルドマクラレンや井上尚弥、ジュリアンジャクソン程の極上ではなく、これは彼らより一瞬のスピードが劣るからだと思います。
初めて世界挑戦した試合がエドウィンバレロの査定試合だと思います。相手のモスケラは大したことのないチャンピオンでした(歴史に残る程ではないチャンピオン)。結果はダウンを奪われながらの逆転ko勝ち。これが、エドウィンバレロかなと。
もしエドウィンバレロが攻守揃った強豪とやっていたら、負け越していたと思います。アントニオバレラとか、ファンマニュエルマルケスには、ほとんど勝てないと思います。ゲイリーラッセルJrにも負け越すと思う。そんなわけで、ロマチェンコにも勝てないと思います。

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アバター匿名

リナレスが奪ったダウンをサイズ差で誤魔化すのはいかんでしょ
いろんな要素は違えど井上戦のマクドネルはサイズ差があっても圧倒してるわけで
さらに言えばそれが通用するなら亀田が負けたのもサイズ差があったからって言い訳ができるようになる
ロマだけ相手のサイズがって言い訳はいかん

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